2016年08月11日

AVアンプの聴感補正機能は不要なのか?「Dynamic EQ」編

前回までの記事の中で触れていた、AVアンプの聴感補正機能についての考察です。

デノンとマランツが採用する音場補正技術、Audyssey (オーディシー)MultEQ XT32が用意する機能としては以下のようなものです。(製品WEBページより)

「Dynamic EQ」・・小さな音量でも臨場感を損なわない。
「Dynamic Volume」・・小さな音は明瞭に、急に出る大きな音は小さく抑え深夜の視聴などに便利。

160811-3.jpgこれらは専門誌のレビュー記事において「小音量時に有効な」というくくりで、一律OFFにされてほとんどスルーされていると思います。

この種の補正機能を使用すること自体が音を悪くする。というのがその理由らしく、過去のいわゆる音質アップの特集記事でも「AVアンプの音声補正機能はOFFにしよう」などと、言い切っています。

元々、一定以上の再生音量を常とする、専門家の眼中には無い機能のようですね。

しかし、再生音量や環境、機器のパフォーマンスに制約がある一般ユーザーにとって、それはいかがなものでしょうか?
それと実際、「深夜の小音量時」の使用に限って有効なだけの機能なのでしょうか。


今回まずは「Dynamic EQ」の方から考察です。
これをONにすると、具体的にどう作用するのか?

僕が常用するボリュームの範囲、-35dBから-26dBでの印象、効果としてはですね、
サラウンドが分かりやすくなる(鳴る)ということです。

サラウンドの包囲感と密度も上がりますし、特に視聴位置の横から後方にかけての細かい音も良く聴こえるようになります。これは音場補正機能と言っても良いくらいです。

どういう理屈なのか?

まずは、ベースとなるオートセットアップで設定された各スピーカーの音量を確認しておくことにしました。要は測定精度です。

AVR-X7200WAのボリュームは-27dBとして、暗騒音は24dBくらい。Dynamic EQをON、Dynamic VolumeはOFFにして、スマホの騒音計を使って測定した結果です。

160811-4.jpg

Dynamic EQ OFFの場合の音量とはイコール、オートセットアップで設定されたデフォルトの音量です。
なので、全てのスピーカー音量は同じになっているはずです。

結果、Dynamic EQ OFFのデフォルトでは、騒音計の実測値に大きなバラつきが無く、各スピーカーがほぼ同じ音量に設定されていると言って良いと思います。(サブウーファーの数値は参考)

ここからDynamic EQを「ON」にすると、特定のスピーカーの音量に大きい変化があることが判ります。
結果として、最大で10dB 程度プラスになっている(赤色)スピーカーがあるわけです。

これが実際の視聴において、スピーカー音量が聴感で異なるという理由であり、Dynamic EQを「ON」することによる結果なのでした。

これはイコライジングによるものでしょうか、しかしその中身は知ることが出来ません。
傾向として、明らかに視聴位置から後方にあるスピーカーほど音量が高くなるのは、何らかの意図か、部屋の環境のせいなのか・・?

以下、個人的推論です。

Audyssey (オーディシー)には、「Audyssey DSX」という独自のサラウンドモードがあります。
これは5.1chに対して、新たに2チャンネルを追加する場合の優先度として、サラウンドバックchでは無く、まずはフロントワイドchを、その次にフロントハイトchを挙げているのです。

それは、人の耳は「後方の音に対しての感度」が前方からのそれよりも低いから。という前提を元にした提案だということです。

つまり、サラウンドバックchやサラウンドchといった、後方にあるスピーカーの音を意図的に上げて大音量時と変わらない臨場感を演出しようとしているのではないか?ということです。

AVR-X7200WA導入当初は、Dynamic EQをONにした上で、前後の音量バランスを修正していた訳ですが、それだと、どうもサラウンドの音場感が物足りないという事は確かにありました。
なので、現在ではこのAudysseyの設定を受け入れてみようという考えに変わっています。

個人的に実用範囲の上限-15dbまでボリュームを上げても、ONのままの使用に違和感は感じませんでした。

そういう訳でDynamic EQ、これは個人的には常用です。


ついでに書きますが、プロと一般ユーザー(僕個人)の感覚とのずれを感じることが、もう1つあります。
それはAVアンプの「ピュアダイレクト機能」を高評価するという傾向です。

僕自身、常用のボリューム位置でピュアダイレクト再生をしても、音が良いという印象はありません。
単に音やせするだけで、音量をずっと上げないとその良さがわかりません。

スマホの普及という背景があり、騒音計も手に出来ます。
今後の評価記事には、再生音量の参考値を記載されたらどうかと思います。


補足。

・スマホでの測定は眼前にて手持ち。
数値、計測の精度とアプリの選定には留意をしていません。あくまでも数値化による説明が目的です。

・上記の音量測定時、MutiEQ XT32はReferenceを選択。
160811-6.jpgこれはいわゆるスピーカー周波数の最適化で、オートセットの基幹項目です。
徹底したマニュアル設定派の人は、これさえも使わないようです。

ちなみに、これをOFFにするとDynamic EQ他が使えなくなりますが、音量設定は保っているようです。


・AVR-X7200WAに内蔵のテストトーンは、あくまでオートセットで設定されたデフォルトの音量です。
なので、Dynamic EQ ONの時の音量を、内蔵テストトーンでは出せません。
ですから、上記の音量はドルビーのデモソフトにある、テストトーンを再生して計測しました。 
160811-2.jpg 160811-1.jpg


・「オートセットアップ後の音量(レベル)設定値が総じてマイナスになる」という結果が時に話題となります。
160811-5.jpgこのマイナス設定によるボリューム不足を嫌って、フロントスピーカーの数値をゼロとし、その差分を他のスピーカーに加えて全体を底上げ修正をする人もいます。(以前僕もそうでした)

しかしDynamic EQなどをONにした場合の音量アップを見込んだ上での設定なのか?とも考えます。

「聴感補正不要派」以外の一般ユーザーは、設定値そのままでも良いのではと思います。

・結局のところ、ボリュームを上げれば必要無いんじゃあないの?
そういうことなのでしょうが、そうおっしゃる常用のボリュームは-10dB台とかではないですか?

・以上、個人の嗜好に対して異論を押し付けるつもりはありません。


次は「Dynamic Volume」編です。
例の「ガルパン劇場版」の視聴を絡めての考察になります。




先日PIONEERの新型が発表されました。
フラッグシップはついに、11ch内蔵で来ましたね。
それにしても、リモコンは思い切った最小限の機能に絞ったようです。
使わないボタンの方が多いという、実情に合わせたのでしょう。
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posted by shu at 14:52 | Comment(2) | TrackBack(0) | AVアンプの機能、操作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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この記事へのコメント
いやぁ、スゴイですね。
「Dynamic EQ」とかそういう固有名詞の意味が分からないから説明書を見るなりWEBで調べるなりしますが、それでも分かったような分からないようなことしか見つけられず、「ON」「OFF」を試して使うかどうかを決めるだけで、それをさらに詳しく調べようなんて思いませんもの。
完全に脱帽です。

1ヶ月ほど前にAVアンプを入れ替えました。
マイクを使った自動音場補正(オーディシーです)を初めて経験しました。
手順に従って進めるだけで、そこそこの結果が出るようになっているので、その優秀さに驚きました。
諸条件に縛りが多い家庭で使う際は有効活用すべきなんでしょうね。
逆に言えば、各SPの設置場所や大きさ自由に選べる環境なら「ピュアダイレクト」が生きてくるのだと思います。
Posted by daisi at 2016年08月12日 15:42
daisiさん、こんにちは。お世話になります。(笑)

評価をしていただき、ありがとうございます。
こだわりのマニアは、この手の補正は大概OFFだっていうのも良く目にしますね。

僕の場合、もの作りの側の観点がありますから、人が作ったものを余程でない限り否定しないんです。
その意図を理解して使ってやろうと思う方なんです。


Posted by shu at 2016年08月12日 16:40
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